たむ

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのたむのレビュー・感想・評価

3.5
抑圧された弱者の怒りの爆発が、強者に向かい訳ではない、ということが本作の最大のリアリティだと感じました。
例えば『ジョーカー』のカタルシスを考えると、本作はその真逆へ向かいます。
底のない欲望を否定・拒絶されたフリッツは自分よりも弱者に向かって、その欲望を、怒りをぶつけます。
しかし、彼はそれでは満たされないことは、不能である事から表現され、殺人者へと変貌する。
生活環境の悪さや暴力描写のリアリティよりも、社会や人間関係のリアリティが本作にはあります。
たむ

たむ