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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのGTのレビュー・感想・評価

3.6
実際に存在していたシリアルキラー、フリッツ・ホンカを主人公とする本作。第一の感想は、とにかく汚い。ホンカ本人の容貌からして嫌悪感を催させるには十分で、斜視の入った目に、ボコボコの汚い肌、歯並びの悪いこれまた汚い口に、油でベトベトの髪など、感情移入という物をこれでもかと阻害してくる。そのキャラクターも醜悪で女性を自らの性欲を満たすための存在としか捉えておらず、挨拶して二言目には「ヤらせろ」。それを断られればブチ切れて殺害するというどうしようもない人間。
ホンカ以上に醜悪なのがホンカが相手にする娼婦で、ホンカ自身その醜悪な外見と性格故まともな女には相手にされないのか、その相手はいつも50を過ぎていると思われる老女ばかり。その老女もホンカと同じで見た目が汚く、髪は脂ぎっているし着ている服も薄汚れていて清潔感というものがまるでない。ホンカと娼婦が連れ立ってヨタヨタと歩くシーンには、この世の悲哀というものが全て詰め込まれているようだ。
全体的に淡々とストーリーが進み、ホンカの人間的な苦悩のようなものはここではあまり描かれない。実際のホンカは幼少期に虐待を受けてたりオーラルセックスじゃないと射精に達しないなど色々な悩みがあったようなのだが、そうした所は描写されず、ただ事実のみを映すため、少し盛り上がりに欠ける部分がある。別にそれが悪いわけでは全くないのだが、退屈と感じやすい面は否めないだろう。
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