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風をつかまえた少年のとものレビュー・感想・評価

風をつかまえた少年(2019年製作の映画)
4.3
少年ウィリアムが村に水を引くため
風力発電ができる風車を作るという
実話を基にした、マラウィが舞台の映画。
ウィリアムの父役で出演、監督、脚本が同一人物。

マラウィ等への支援に微力ながら縁あってか
絶対映画館で観たくて観に行った。

その年の農業の出来が生死を分けることに直結したり
飢饉から暴動や強盗が起こったり、
家族である犬に食べ物をあげる余裕がなく
死なせてしまうなどの切羽詰まり感が、
映画やけどすごいリアリティ。
悲しみに暮れながらも希望を捨てず、
みんなのための挑戦の手を止めない子供と
今日の食べ物をどうするか、落ち込む暇すらない大人。

何事にもひとつひとつに一生懸命で
幸せを見つける感性がすごく敏感で
とても演技には見えない表情や感情の揺れ。

ウィリアムを演じたマックスウェル・シンバ君
ナイロビ出身の彼のオフィシャルインタビューから
' 学ばなければ自分が無知かも分からない。
何が可能で不可能か教えてくれるのが教育だと思う。
そして、教育は読み書きだけじゃなく世界中の人と交流する方法も教えてくれる。'


今日のマラウィでは、ある取り組みによって
5歳未満で栄養失調で亡くなる子供はいなくなったと
ハンガーマップは改善し、マップの色が一つ良くなった。
それははかり知れずめちゃくちゃすごいことやけど、
これがたった20年前の出来事。
知識や仕組みがいかに大事か。

ものに溢れた日本における'1日1食'と
ここのそれとは全く別物。

私は昔よく『ごはん食べるの忘れてた』って言ってた。
それに対して、カースト最下層から2番目の身分で
川のそば、天井がなく壁はカーテン、という場所で
子供時代を過ごしたインド人の彼から
『その言葉は失礼』と言われた、
その意味がようやく理解できた映画。
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