まつけん

風をつかまえた少年のまつけんのレビュー・感想・評価

風をつかまえた少年(2019年製作の映画)
3.6
風をつかまえた少年 2019年 英国
皆さんはアフリカ大陸のマラウイ共和国を知っているだろうか。
この映画、というか実話を基にしたドキュメンタリーは、2001年にマラウイを襲った大干ばつで大勢の人が亡くなる中、14歳のウィリアムが図書館で一冊の本と出会い、発電用の風車を村に作り、村に水を引いて多くの人を助けたお話。
2001年でしょ?風車で村に水を引く?もっと色々ないの?と思うかもしれないけれど、それにはマラウイという国を少し知らないといけない。(ほぼWikipedia)

マラウイは、イギリス連邦加盟国の一つで、世界銀行によると2014年の1人当たり国民所得は250米ドルで、世界最下位の国。(2019年に380米ドルまで上昇したものの、下から二番目)
元々、1891年にイギリス保護領になり、第二次大戦後ザンビアとジンバブエとマラウイを合わせたローデシア・ニヤサランド連邦として独立。ただ、これは地下資源が豊富なザンビア(北ローデシア)、製造業が盛んなジンバブエ(南ローデシア)と黒人労働力の供給先マラウイ(ニヤサランド)をうまく結びつけて経済発展を狙った白人入植者(アングロアフリカン)の思惑だった。で、日本史でも覚えるくらい有名な1960年のアフリカの年を迎え、1963年に連邦は解体。1964年、東京オリンピックの年にイギリス連邦加盟国の形式で独立。独立後ありがちな、バンダという初代大統領の独裁傾向が1994年まで続くも、対外戦争や内戦を経験しておらず“The Warm Heart of Africa”(アフリカの温かい心)という別称を持つ。
実は、世界に派遣された青年海外協力隊の隊員数が最も多い国で、日本大使館もある国。
とは言え、治安がいい訳ではなく、やはり女性のレイプ問題や人権などはすごーーーく遅れているようで、小さいころから結婚させられたりする。

で、映画に戻ると、当時、ウィリアム君の偉業はマラウイだけでなく、世界でも注目を得たらしい。
純粋な映画の評価で言うと、3/4くらいはちょっとずるずると長い感じ。でも最後のお父さんの笑顔だけで、この映画素敵だなと思えた&マラウイを学ぶ機会をくれた。
全国での識字率が60%程度でHIV/AIDSが蔓延し、平均寿命が53歳というマラウイの中でも、ウィリアム君の村は貧しくて、未だに祈りで雨を降らせようとするレベル。彼自身、干ばつにより飢饉に瀕し、学校のお金も払えず退学。それでも何とか勉強をしたい一心で学校に潜り込み、図書館に潜り込み、この奇跡の風車を作り出す。
最近ようやく、少し知識欲が高まったけれど、学校に行くのが当たり前の日本で、これだけ必死にしがみついて、がむしゃらに知識を得ようとして頑張る姿は心打たれるものがあった。実話に脱帽。
ちなみに彼、2007年にTEDカンファレンスでゲストスピーチしてる。20歳で。すごい、、
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