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転がるビー玉のKUBOのレビュー・感想・評価

転がるビー玉(2019年製作の映画)
3.5
シネクイントで予告編見て、全編渋谷ロケっていうのに惹かれて見たかった作品。

映画には、吉祥寺を舞台にした『PARKS』とか、街が主役な作品っていうジャンルがあるけど、これもそう。

外苑前をジョギングしたり、宮下公園の前の歩道橋で歌うたったり、そもそも住んでいるのが富ヶ谷の方? もと家があったところのすぐ近くだ。渋谷で生まれ育った私にはそれだけで楽しい。

モデルを目指してオーディションを受け続ける愛(吉川愛)、歌手を目指して毎日路上で歌う恵梨香(今泉佑唯)、ファッション誌の編集部に勤めながら男性に依存する瑞穂(萩原みのり)。

この3人が、再開発計画のある渋谷のマンションに、取り壊しになるまでの期間限定のルームシェア生活を送っているのだが、みんな可愛すぎてリアリティはない。

大人になるまでの夢を求めてキラキラしている時。「渋谷」って、そういうイメージなのかなぁ?

劇中に「私、東京にいるってだけで満足しちゃってる」って台詞があったけど、渋谷がホームタウンの私には、その辺のところはよくわからない。

順風そうな美しい愛にも実はコンプレックスがあったり、最初は聴いてくれる人もほとんどいなくて一番イタイ女だった恵梨香が、最後に一番何かを掴んだ感じだったり。

『街の上で』もよかったし、萩原みのりの演技はいいなぁ。それに吉川愛、キレイ、とってもタイプ!

2019年作品ということは、2018年撮影かな? コロナ禍を経て、劇中に映っていた UNDER ARMOUR は閉店、工事中だった銀座線ホームや宮下公園はもう完成して街はどんどん変わっていく。

3人のキラキラした束の間を象徴する線香花火、彼女たちのこれからを象徴するジャーが割れて転がり出すビー玉たち。狙いすぎだけど、美しい印象的なシーンだ。

エンドロールにかかる主題歌「転がるビー玉」を含めて、恵梨香が歌う劇中歌も素晴らしい(佐藤千亜妃:作詞作曲)。
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