千里

転がるビー玉の千里のネタバレレビュー・内容・結末

転がるビー玉(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

トレイラーの雰囲気がとっても好みだったのに加えて、萩原みのりさん出演案件だったので迷わず観賞。前評判がそんなに高くなかったのでどうかなーと思っていたけど、個人的にはこういうの大好き!!という感じのめちゃくちゃ刺さる案件の作品だった!

表面上はそれぞれ夢に向かって前向きに生きているけど、未成熟が故にどこか欠けていて、ちょっとしたことですぐに壊れてしまいそうな彼女たちの日常をリアルに描いた物語。爽やかさ溢れる楽しそうな3人の部屋での生活のシーンから、ふと自分何やってるんだろうと現実に還るシーン。そういうの諸々含めて"若いってそれだけで素晴らしいなぁ..."とか、"こういう人生送ってみたかったな"って憧れたりとか、3人の生活見てるだけなのに思わず余韻に浸りたくなる。

序盤から、欠けたビー玉、飛んでいく風船、割れたグラス等、それらを長めに映す辺りまで含めてすぐに壊れそうな彼女たちを表現しているんだと思うけど、こういう演出めちゃくちゃ好き。あと後々の伏線のように見えるシーンがいくつかあるのに、敢えてそれを拾わず投げたままなのもリアルさを追求してのことなのかなって。リアルだったら特別なことなんてそうそう起こらないし、そういうこと。

観るまではタイトルの"転がるビー玉"ってなんだろうと思っていたけど、本作を観ていく中でこれ以上ない程にしっくりくるタイトルだったのも好印象。人間誰しも"欠けたビー玉"な時期はあって、必死に踠いて"転がってる"。"誰も見てなくてもここに居る。" 作品の主題歌が作中では恵梨香の新曲として、しっかりと分かり易く意味が伝わってくるところも好き。あと元々好きだった萩原みのりさんは勿論、吉川愛さんと今泉佑唯さん、本作の主演3人は皆素晴らしかったので今後の活躍も楽しみ。序盤で萩原みのりさん演じる瑞穂がビー玉を見つめるシーンの美しさよ...最高。

絶賛したけど、世評通り万人受けする映画ではないとは思う。ただただ個人的に凄く刺さった映画だったし、とっても好きな映画だった。
千里

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