かたゆき

SKIN 短編のかたゆきのレビュー・感想・評価

SKIN 短編(2018年製作の映画)
3.5
過激な白人至上主義者である、とある一家族の日常とその崩壊を研ぎ澄まされた感性で見せる短編ドラマ。
後にベラ・ファーミガ主演で長編映画化されたものの原型となった作品で、アカデミー短編映画賞を受賞している。
先に長編の方を見てからこちらを鑑賞したのだが、こちらはこちらでよく出来ている。
と言うか、物語としては正直こちらの方が面白い。
黒人を人間とみなしていない差別主義者が、スーパーの駐車場で絡んできた黒人に制裁を加えたことがきっかけでさらわれ、そして全身にあるタトゥーを彫られてしまうというストーリー。
まあ単純で荒唐無稽ではあるが、ちゃんと起承転結がしっかりと纏まっているし、オチの切れ味も鋭い。
一言で言うなら、世にも奇妙な物語の社会派版といった感じか。
なにより素晴らしいのは、この暗鬱な世界観よ。
社会に蔓延る闇を冷徹に凝視しながら、それをエンタメへと昇華してしまえるこの監督の手腕は大したものだ。
社会派に特化した長編もなかなかのものだったが、次はこの短編のようにエンタメに寄った作品も観てみたいものだ。
かたゆき

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