ちぃ

トールキン 旅のはじまりのちぃのネタバレレビュー・内容・結末

トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

★4.5 トールキンは第一次世界大戦に出兵。熱が出ているが何かを追い求めるかのように歩きだす。

彼は幼少期、父が亡くなり母と弟と3人暮らし。彼が貧しいながらも勉学に励めるように母は神父を彼らの後見人にする。そして神父のいる地に住まいを移す。しばらくして母は病気で亡くなる。彼ら兄弟は女性のもとに引き取られる。そこには女の子がすでに引き取られていた。彼はその場所から学校へ行くことに。学校では新入生で孤児ということで目をつけられたが、(学校に通う子はみな裕福な家庭の子供たち)彼が本を奪われてもその内容を暗記していてつまずくことなく朗読したことで一目置かれる。彼ら4人はお茶をしに近くのカフェに通いだした。彼らはそれぞれ、音楽、絵画、詩、言語に興味を抱きT.C.B.Sというクループを作り、日々自分の制作活動について話したりしていた。トールキンはある日、一緒に住むエディスをみんなの集まりに連れて行った。彼女はピアノがとてもうまかった。しかし他の3人と親しげに話すエディスをみて彼は早々にその場を引き上げる。物事に精通しておらずバカにされたと受け取ったエディス。彼女を怒らせてしまったトールキンは彼女をオペラに誘う。しかし席は満員。高い席はお金がなく入れなかった2人。しかし、脇の通路から中に忍び込み、二人はそこで愛を確認する。次の日はオックスフォードの試験であった。前の日はめをはずしたことも重なり彼は試験に落ちる。神父からはエディスとの付き合いを指摘され後見期間が切れる21歳になるまでエディスとの交際を禁じられる。彼はエディスを想いながら大学生活を続けるも、停めてあるバスに勝手に乗ったことがばれ退学が決定する。他の三人は家が資産家の為難を逃れる。そこにエディスの結婚式の招待状が。彼は自暴自棄になる。酒を飲み夜の学校で大騒ぎをする。次の日、彼のもとに一人の教授が。教授は彼が今読んでいる言語についての本を書いた人物だった。文学を勉強していて退学になったが、教授のもとで言語を専攻すれば大学に残れるとし、実際彼は自分で新たな言語を作り出してしまうほど言語にのめり込んでいた。教授に見初められ言語を学ぼうも大戦がはじまる。4人も出征することが決まる。その当日、彼は人込みの中でエディスを見つける。彼はエディスに言う。「こんなにも愛した女性には幸せ以上のものが訪れて欲しい。それは魔法かもしれないと。」2人は愛を再び確認し彼は帰ってくることを約束する。

戦場でさまようトールキンは親友のジェフリーを探していた。自分の近くの部隊で戦っているが、彼の書いた手紙にも返事がなく音信不通になっていた。トールキンの部下は熱もあるし危ないからというが、親友の安否を確かめたい旨を説明、2人でジェフリーを探す。彼が戦っている部隊を見つけ戦火に飛び込むトールキン。彼はそこでジェフリーを見た気がした。しかし彼はそこで力尽き倒れる。

次に目を覚ましたのは病院のベッドの上。隣にはエディス。彼は熱に侵されたが回復。4人の仲間のうち2人が亡くなったという。彼はそれからエディスと家庭を築き子どもも生まれ、オックスフォード大学の教授として働く。1人残った仲間も精神を病み、T.C.B.Sはなりをひそめた。日常を生きていくトールキンの火は消えたようで、あんなにあった情熱はなりをひそめ執筆もままならなくなった。そんなトールキンにエディスは、自然と自分の中から湧き出るものがないのならやめてしまえという。彼は決意する。親友のジェフリーの詩集を出版することを彼の母に提案。彼は序章を彼のために書き上げる。そして彼は家族の前で物語を作ることを発表する。「それは魔法も、宝物も、愛も、いろんなものが詰まった物語だ」「勇気について、そして何よりも仲間についての物語だ」と。

言語について考えさせられた。言語は意味だと。それぞれの民族が作り上げてきた歴史、誇りだと。独自の言語を作り上げてきた日本を誇りに思った。意味のない言葉はない。それはただの音でしかないと。

とにかく彼ら4人の仲間の絆が素晴らしい。これが実話なんて。ドラマチックすぎる。

血の水たまりがとても印象に残っている。それでも自分の命をかえりみず仲間の安否を確認にいくところとか泣く。

壮大な指輪物語を知ったうえで、あの仲間たちは自分の大事な仲間たちを重ねて書いたと思うと胸が熱い。メルヘンというかからかけ離れた話でまさかこんな展開とは思っても見なかったけどすごくいい話だった。
ちぃ

ちぃ