まりん

トールキン 旅のはじまりのまりんのネタバレレビュー・内容・結末

トールキン 旅のはじまり(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

これは、リンガーズには堪らない。
日常生活で自分が創作した言語を話すトールキンは、相当変人だと思う。
だけど、囁くようにそれを話すその姿は、謳うようにその言語を操った人間アラゴルンの姿と被る。
勿論、“T.C.B.S.”は決して、人間でも、ましてやエルフでも無いだろう。彼らは、ホビットなのだろう。
親と言う強大な力に抗えずいた夢多き善良で非力な存在。だけど、芸術で世界を変える・・と信じた。その力が有ると、信じた。
信じて大きな事をした小さな人、ホビットのように。

美しい子供時代、友情に育まれた学生時代。
対照的に悲惨な戦争シーン。その中で産まれた物語だと言う事は知っていた。その陰に居た仲間たちの存在は知らなかった。

モリアの坑道の入り口で“唱えよ友と”と言われ、魔法使いガンダルフは悩む。さまざまな言語を知っているから。色々試す。
だけど気付いたのは、狭い世界で無知なホビット。単純だった。「メルロン(友)」で良かったんだ。この言葉をここにチョイスしたトールキンの心情を思って泣けた。

素晴らしい物語を生み出してくれた彼とその礎となった友たちに感謝しかない。

願わくば、無理を承知でPJに監督して欲しかった。
まりん

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