FOXニュースの創立者をセクハラで告発する女性職員たちの話ですが、2016年の事件をベースにしているというんですから、なんという制作のスピード感。
地位を利用しセクハラするという反吐が出る事件ですけど、告発された創立者がリアルに悪いことをしているという自覚を持っていない感じなのがよりおぞましい。
作品としては過剰な演出をせず、淡々と表現しているところは好感。
ただFOXニュースが政治的にどちら寄りであるとか、そこらの基本的背景を理解していないと、説明的なところがないので分かりにくいところもあるかも。
シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの3人が大して絡まないところが逆にいい。
セクハラを受けながらも、それぞれに違う立ち位置のキャラ構成なので、同じ被害者として一括りにできない面も見せていてリアルな感じ。
告発されるCEOを演じたジョン・リスゴーの演技が凄い。その禍々しさがストーリーを支えているといっても過言ではないかと。
ただ告発するまでの経過、葛藤がメインなので、結果の描写はあっさり目。これはアメリカでは記憶に新しいニュースで、結果は知ってんだろってことで、こういう構成になったのだろうと推測しますが、そのニュースが身近ではない人にとったら結果の描写が淡白すぎると感じるのでは。
最後に諸々含めて「まだ終わっていない」みたいなニュアンスのテロップが入りましたけど、映画としてのバランスは、それだけでは補えきれていない気もします。
