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テロルンとルンルンのdarumaのレビュー・感想・評価

テロルンとルンルン(2018年製作の映画)
5.0
(2019年11月に映画祭、2020年7月配信にて3+1回。アフタートーク付き)
(この映画は観すぎてどう感想をまとめたらよいものかですが…書きなぐりすみません。あと私は岡山天音くんのファンです。)

<2019年11月の初見>
私の好きな天音くんがたくさんつまってました^^莉奈ちゃんもとても良かった。そしてストーリーがいい!最後少し泣いた…私の周囲は男性ばかりでしたが皆さん目頭熱くなられているようでした。
天音くんのお芝居はもうほんとに言うことがないです。台詞の無い演技、見入ってしまう。このままずっとループで回しておきたいと思ってしまった。苦悩も笑顔もどちらも好き。広島弁(なのかな?)も聴けて感動。ラストの言葉もとてもいい。
あと帰り道に主題歌聴きながら帰ってきたんですが、まさに!ほんとこの映画のための曲…ダブルミーニング?ではないのかもだけど、観終わってから聴くとまた違う発見がありました。
翌日ずっとvapor聴きながら仕事してたんですけど、なんか泣けてきて…映画観ながら涙することはよくあるけど、観終わってから主題歌聴いて泣くことって今までになかった。ほんと主題歌とストーリー、そして演者さんスタッフさんの奇跡のコラボだったんだな…と思った。

<2020年7月>
映画祭に続き2回目でじっくり観ることができました。最初に瑠海がガレージを訪れる所の頭痛いポーズ?責任取ってよ!みたいな?^^あと類はやっぱり背が高い!(扉の高さがほぼ同じ)と思ったらアフタートークで美術さんが扉も作成されたと言われてて驚いた!ほんとセット素敵。
映画祭の後にレビューを読んだら台詞の少なさに言及されていて確かに!と思ったのだけれど(←今見たら自分もそう書いていた…)、まさにまたそれが実感できてよかった。序盤ほとんど台詞がない…のに伝わるのが凄い。そしてそれ故に瑠海の最後の台詞がじんと来る…ガラス(越し)の使い方がほんと上手すぎる。
天音くんファンなので初回は天音くんにばかり目が行ってしまったけれど、今日は昨日アルプススタンドのはしの方を観たせいもあり小野莉奈ちゃんに惹きこまれた。かなり真逆な役で、台詞が少なくても会話劇でもどちらでも魅せられる女優さんだなと思った。最後泣いた…
天音くんはほんとこういう役が似合う…監督もおっしゃってたけど危うさを表現するのがとてもうまい。元々の持ち味かもしれないし、話を聴いて時期的にうまく切り取られているのもあるのかな?とも思った。

回数観るとようやく解る所とかあるなぁ…(私が鈍いだけ)類の優しさ、心の開き方がよく分かった(見やすいようにどけてた)お母さん'sの子を思う優しさも沁みる。パンを取り出す所が映画っぽくて好き。
紙飛行機何故飛ばしたのか…外に出たい気持ちの表れなのかなとか。
月の視覚効果(真昼と夜)、踏み切りの効果音(個人的に電車が出てくる映画に外れなし。生活音)。特に音響、瑠海が学校で補聴器外す所の音のない世界、とてもいい。

天音くん咳払いは癖だと思うのだけれど、物凄く効果的。特に最初、久しぶりに人と話す感、間の感じ、性格もよく出てる(意図的か演出かわからないけど凄くうまく填ってる)。類の一番好きな場面は携帯のメモ探す所。出られない事を上回る衝動(それでも伝えたい)グッとくる 。

最近観た映画の共通の感じ(影響)もあるかもだけど、これも「大人にさせられた」子供たちの物語だなと思った(天音くんのワンダーウォールしかり莉奈ちゃんのアルプススタンドも)様々な要因があってそう成らざるを得ない。本当はまだそうじゃないのに…そして本物の大人になっていく。

この映画のどこが好きなのかを考えていた。たぶん私は自嘲が好きなんだと思う。近づこうと投げた声は冷たさとして自分に跳ね返る。その顔が好き。自分が無力だと知る…その顔も好き。彼女がきっかけではあるけれど、実は自分と向き合っている、そんな所も好き。
ガラスは跳ね返りを象徴してる?安全に囲われているようだが全部自分に返る。だから届かない。破った時、初めて自分と向き合える。出た事よりも出ようとした能動的な高ぶり、今まで波風立てないようにしてきた心にそこまでの感情を持ってしまった事が一番グッと来たかもしれない。

この作品はある意味、物語性がかなり強いと思うのだけれど(大多数の人には非日常?尺に合わせてデフォルメ感もある)そこが受け手から乖離してしまうのではなく(ともすれば冷めちゃう)ちゃんと共感できるというか感情移入させられる演技になっているのが凄い。

余談だが、ふと森山中教習所を思い出した…偶然人生の谷間ですれ違ってほんの少しだけ想いを共有し、その後は二度と出会わない二人(あちらはまたすれ違うけど)。いつか忘れるかも、でもしばらくはそれを胸に生きていく、生きていけるんだろうなぁ…そんな所も好き。
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