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パリの家族たちのKentFのレビュー・感想・評価

パリの家族たち(2018年製作の映画)
3.6
幾つかの物語が並行し、時に重なり繋がるオムニバス。始めは、代る代る登場人物とシーンに、へその緒が絡まるかのように息苦しさを感じる。が、母は不死(immortelle)ではないことを印象付けたのち、緩やかに滑らかに解きほぐれていく。

邦題は安易に「家族(famille )」と付けるが、この多様な社会には馴染まない(パリの、と限定詞を付けることも不当)。母の日(La Fête des mères)を契機に、母と、母を持つ全ての人たちに送る物語。数々の逸話や小話を織り交ぜながら、初の女性大統領とアジア系娼婦の対照が作品に気品を与えて、作り手の想いと気概を感じる。もう一度冒頭を見返すと新たな気づきがあり面白い。

さて、この国は初の女性リーダーを選ぶのか。その人物はこうした多様な母と子(mère-enfant)の関係を認める人であってもらいたい。現実世界も大統領選挙まであと一年。
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