湯っ子

パリの家族たちの湯っ子のレビュー・感想・評価

パリの家族たち(2018年製作の映画)
4.0
面白かった。いろんな母親がいていろんな関係や価値観があるんだよね、って思わせてくれる。(イメージ的に)アメリカのハートフル作品だとそれを「認め合おうよ!」みたいなノリになるところを、それをしないで一歩手前で引いてるのは、個人主義のフランスだからなのかなと思った。

「誰しも自分の母親をイカれてると思ってる」というセリフが印象に残った。夫がまさにそうで、義母のことをいつも「おふくろは変わってるから」と言う。私から見ると、多少エキセントリックなところはあるものの、それは個性の範疇にみえる。かくいう私も、自分の母親のことは「よそのお母さんとはちょっと違う、いわゆる『お母さん』タイプじゃないし」という思いがずっとある。でも、「よそのお母さん」っていったいどこの誰よ?誰しも自分の中で勝手にイメージした「よそのお母さん」と自分の母親を比べているのかも。あるいは「自分のお母さんは誰にも似ていない、とても特別な人」と思っていることの裏返しなのかも。

とっても良い映画なのに、とってもジャケがダサい。タイトルも原題は「母の日」なのに、「パリ」って入れたらお洒落になると思ってる感が、またダサい。どうしてもパリと言いたければ「パリの母たち」にしたらいいのに。そしたら、いちばん下の野暮なキャッチコピーもいらないでしょ。
湯っ子

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