鰹よろし

TSUNAMIの鰹よろしのレビュー・感想・評価

TSUNAMI(2005年製作の映画)
3.0
 40年後には石油が枯渇するとの見解からアルファ・ガス社は石油プラットフォームにおいて秘密裏にメタンハイドレートの調査を開始。独占を狙うが故に強引な手法が用いられていた...

 石油掘削だけにしては怪しげな動きがあると正式に環境局が調査に入るも、十分に環境に配慮し海洋の生態系にも影響を与えない様慎重に慎重を期している、我々はこれまでもこれからも無事故無違反ですよ(笑)と門前払い。

 一方その頃、大量のメタンハイドレートの発見に現場は乱痴気騒ぎ。環境保全のことなど微塵も考えず、海底やメタンハイドレートへの影響は一切考慮せず、専門家の助言と忠告を聞き入れず、盛大に爆破による掘削が試みられようとしていた...

 案の定巨大津波が発生し、とある島が未曾有の大災害に見舞われる中、現場を取り仕切っていた責任者はそれとは別に何やら画策し不穏な動きを見せていく...

 ジョンは2年前にハワイで行われたサーフィンの大会でサーファーの彼女を亡くしてからというものずっと失意のどん底無気力人間。いつも気にかけてくれている姉とは喧嘩と仲直りをひたすら繰り返している。

 大会当日の朝は嫌な予感がしており、彼女の死をそれを告げなかった自分の所為だと思い詰めていた様で、やっとその後悔を吐露できた久しぶりに再会したアルファ・ガス社でリスク分析を担当する親友が次の日不審な死を遂げる。

 環境局の調査員スヴェンニャは水文学の博士号を持ち、過去に原子力施設が原因と見られる白血病で母を亡くしている。それ故か彼女は正義感に満ち溢れており理想主義者。言う事為す事正論の嵐であるが、あまりにも真っ直ぐ過ぎるが故に性格は刺々しく、些細な会話ですら人間関係に軋轢が絶えない。

 環境破壊株式会社アルファ・ガス社と愉快な仲間たちの動向はもちろんだが、主役となる2人の中にもまた傲慢さともとれる感情を垣間見させることで、自然に対する人間の過大評価と過小評価の指針を築き、

 局地的な爆発によって誘発される、広範囲に被害をもたらす威力を持ちながら実は繊細且つデリケートだという大人災巨大津波への相対を以て、これから迎え得るエネルギー革命の弊害を見据えようとする、また人間と自然がどのように関わっていくべきなのか付き合っていくべきなのかを訴えようとするドラマは見応えがあった。

 「ディザスター・ウォーズ」(2013) バリの津波の無力化は空想科学(理論上は可能???)だろうけど、発生と巨大化のプロセスは真面目に描いているので警鐘としては十二分に機能する・・・のかな・・・


「ハートブルー」(1991)...「メガロドン」(2002)...「第7鉱区」(2011)...「ワールド・オン・ファイアー」(2012)...「ディザスター・ウォーズ」(2013)...「X-ミッション」(2015)...「カリフォルニア・ダウン」(2015)...「バーニング・オーシャン」(2016)...「ザ・プリザード」(2016)...
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