- ほんとに、家族写真撮れるの?
写真は一瞬を永遠にするなんていうけれど、
ほんとはそんなことなくて、
いつでも無くなってしまうもの
それでも
あの日見た虹も、あの日の思い出の海も、
永遠だ
だから生きていける
写真は、撮られたものだけでなくて、撮った人も、その物語も、全てを写すから
__________________________________
執着的にまで家族のあり方を撮り続け、傑作を生み出し続ける中野量太監督による本作は、今までの作品と比べて桁違いに大がかりな作品だけれど、彼の作品を貫く家族の眼差しへの温かさは変わらない。
きっとそれが本当の浅田さんの眼差しとも通じるところがあって、その相乗効果で生まれたのがこの作品なのだと思う。
震災前後でガラッと変わる映画だが、その実、貫かれるものは同じである。それこそが、全てが揺らいだ3.11でもなお、揺らがなかったもの、あれほどの大震災でもなお「揺らがせなかったもの」を教えてくれる。
二宮和也、妻夫木聡、菅田将暉、黒木華、風吹ジュン、平田満という豪華俳優陣の抑制の効いた演技は、彼らをこの映画に馴染ませ、映画の温かさそのものを真っ直ぐに伝えてくれる
あの海での撮影シーンでは涙が自然と溢れてきて、この映画の意味も、私たちが生きる意味も、全てが流れ込んでくるような感覚に。
北村有起哉もさすがだ、、
震災の喪失がこのようにわかりやすい物語に回収されることには若干の違和感を持つし、問題だとも思うけど、血縁をとうに超えた家族の本質を「湯を沸かすほどの熱い愛」で描き出した中野監督だからこそ許容される表現なのかなとも思う
写真家が写真を撮らずに写真洗浄をする、という作品の肝とも言える部分が極めて映画的で、使い古されたテーマのようにも見えるが、写真の本質を改めて思い起こさせられる