焼きぷりん

ラストナイト・イン・ソーホーの焼きぷりんのレビュー・感想・評価

4.8
バック・トゥ・ザ・60's。タイムスリップした先で、ロンドンという街が魅せるまばゆい光と深い闇。過去と今を行き来?するエキセントリックなファンタジーホラー。

テンポよく、かつ予想を覆すストーリー。だが、さほど難解でなく、うま~く観ている側を誘導し引き込む作り。そして中弛みを感じさせない脚本のバランス感覚も凄まじい。ファンタジー色は強めな印象。

画へのこだわり。目に焼き付くようなインパクトのあるカットばかり。こちら側の恐怖も楽しさも完全にコントロールされてしまった。カメラワーク、色彩ともに映画作りに長けたセンス、、、

音楽にもこだわり。"ポップな"音楽を逆説的に使うのがうまい。明るすぎるって、それはそれでホラーとの相性が良いもの。もちろんそれだけにとどまらず、終始クラシカルな音楽を楽しめる映画でもあった。

既視感あるような、新鮮なような。ホラーというジャンルの中にも色々あるので、全く新鮮という訳でもないが、二番煎じにならないような、かなりの独自性を感じられた。視覚的、精神的ホラーとして、見飽きた形でない恐怖体験を味わうことができた。

『P.T.』や『VISAGE』といった近年のゲームにインスパイアされたような部分は多いのかも。うまく要素を取り入れつつ、オリジナリティを出しているので、結果的には、今までにないエポックメイキングな映画になったのでは?と感じさせられた。色々と言いたいことはあるけど、とにかく傑作でした。
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