ブラックユーモアホフマン

ラストナイト・イン・ソーホーのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

4.1
現代的なテーマをジャンル映画の型を使って語ることで観たことがあって観たことのない映画を作る才能。

映像のテクニックも毎回違うことに挑戦していてすごいよなー。同じことをしない。

ゾンビやって、刑事アクションやって、コミックやゲームの表現を映画に取り入れて、侵略SFやって、カーアクションやって、今回は悪夢系ホラー。

話の最後のスピンが良かったな。こういう話か?と見せかけてこう、というのが何度かあって上手い脚本だった。

ポップソング使いの上手さも相変わらずだけど、今回が一番良かったかもな。編集のテンポと相まってすごく気持ち良かった。

寮初日のパーティーシーンすごかったなあ。エリーが聞いてるオールディーズとフロアで流れてる最新曲のBPMが同じで、耳の中でマッシュアップされてるみたいな。ヘッドホンを付けて古い時代に閉じこもってるエロイーズとやかましい外の世界との対比を音楽的に表したシーン。ナイスアイディア。

シャマラン組の2人。アニャ・テイラー=ジョイもそりゃ良かったが、トーマシン・マッケンジーのチャーミングさ。冒頭のダンスシーンも素晴らしくて、そのままトーマシン・マッケンジー主演のストレートなロンドンのロマコメも観たいなと思った笑

ホラーとしては物足りなさも感じた。怖くはない。エロイーズが感じている心理的な怖さを話として理解することはできるけど、体感はできない。ホラー映画としての驚きがもっとあったら完璧だったかも。

あとユーモアかな。序盤は可愛らしさがあったけど、ロンドンに行ってからは基本真面目。実はサイモン・ペッグがいないとユーモアを書くのは苦手なのか?そんなはずないよな。真面目さや怖さとユーモアは共存できるしむしろプラスにしか働かないはずだから、もう少し笑えたりしたら良かったな。

【一番好きなシーン】
「いい名前だね」と言われ続けるシーン。アニャのそれぞれの反応の演じ分け、そしてダンス。
帰ってもその声が頭の中で響いてるっていうのも良かった。