何となく想像していた展開ではなくクラシカルなサイコスリラー風味がありました。
予告を観ていた時は時を超えたシスターフッド物ホラーだと思い快作「ファイナルガール 惨劇のシナリオ」みたいなのを想像していました。
が、どちらかというと大好きなあの時代へのノスタルジーを感じつつダークさと反省を入れた「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」テイストがありました。
華やかな芸能の世界を夢見ながら堕ちてゆく女性というありふれたストーリーながら、そのありふれたストーリーは一体誰の責任なのか考えさせられます。
当時は現代よりももっとあからさまで酷かったのだと思いますが、決して現在において無くなった問題ではありません。
ハーベイ・ワインスタインに端を発したMeToo運動の際、日本でもあるお笑い芸人が「女性もそれで売れたんだから今になって一方的に糾弾するのはどうかと思う。」みたいな信じられないこと言っていましたし。
アニャ・テイラー・ジョイはもちろん素晴らしいですがトーマシン・マッケンジーもこれから同世代を引っ張っていく存在になりそうです。
ホラーとしてはそれほど怖くはないですがとにかく同性としてみても出てくる男どもの気持ち悪さは観ていて辛いです。
OPから過去のソーホーでサンダーボール作戦の看板を見上げる所までくらいがピークという気もしました。
助けてくれるどこまでも親切な黒人青年や意地悪なルームメイトなどは若干ステレオタイプな印象があります。
昔はオシャレなサブカル野郎を気取ろうとジム・ジャームッシュが好きと嘘ついていましたが、今ならエドガー・ライトって言いますね。