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ラストナイト・イン・ソーホーのりのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

音楽が良いとか画面のセンスが良いとか社会的メッセージがどうだとかトーマシンちゃんとアニャちゃんのビジュアルがあまりにもつよいことは語るまでもないかと思いますので、個人的MVPのジョン君について書いていきます。

この作品のテーマからして、まさに男はケダモノ。堂々と女性を食い物にし、いざ歯向かわれると売女呼ばわり時には暴力も振るう。確かに死んで当然の生き物ですね。ぶっ刺され床下に埋められても文句は言えないでしょう。
ですがジョン君は違いました。

重たい荷物を運ぼうと声をかけたり、うっかり飲んでしまったコーラをきちんと弁償したり、どう考えても正気とは思えない調べ物を戸惑いながらも手伝ってくれる。何度も君を信じるよ、助けになるよと声をかけてくれます。
挙句ゴタゴタに巻き込まれ重傷を負ってしまいますが、最後までエリーの味方でした。まさに紳士、漢の中の漢です。
そう、男が全員ケダモノなわけがありません。

ですが、このジョン君の善人っぷりがどうにも胡散臭いのです。
何か下心があるんじゃないか?どこかで豹変したりエリーを裏切るのでは?と。
もちろんジョン君はきちんとした真人間でしたので、終盤には彼を疑ってしまった自分がとても恥ずかしくなりました。
ただ、疑わざるを得ないほど世の中には心ない人間がゴロゴロいるのもまた事実です(このあたりは残念ながら女性でないと分からない感覚かもしれません)。

あんな目に遭わされたサンディの言い分もごもっともです。ですが、ジョン君が体現するもう一つの男性性をきちんと作品に取り入れたことで、ラストナイト・イン・ソーホーの物語やメッセージに更なる深みが出ているのではないかと思いました。
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