JIZE

ラストナイト・イン・ソーホーのJIZEのレビュー・感想・評価

3.8
現代と1960年代のロンドンで暮らす女性たちが夢を通してたがいに共鳴しあう。主演のアニャ・テイラー=ジョイやトーマシン・マッシンジー筆頭にスリラーとミュージカルを巧妙に絡み合わた劇舞台をみてるような感覚だった。また劇中で「恋のダウンタウン(1964年)」がキーソングとして鳴り響き、ギラギラしたサイケデリックのその60年代のロンドンの波が鮮血に押し寄せる。全体的にソーホーの世界観や夜の匂いで魅せる部分が美点で、夢の中で起こる事件の全貌へ迫ってゆく構造はスリルをかきたてる。またエドガー・ライト監督作品としては『ベイビー・ドライバー(2017年)』だが、その美的感覚も再認識できる旨味はたっぷり。劇画チックな雰囲気も動悸や振動みたいに溶け合っていて魅力的な世界に固唾をのめるスリラーの映画へと仕上がっているのではないだろうか。
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