ドンキーホーグ

ラストナイト・イン・ソーホーのドンキーホーグのレビュー・感想・評価

3.5
マルホランド・ドライブとパーフェクトブルーとサスペリアのこと考えながら見てた
悪夢となって襲いかかる美しき60年代。襲いかかるはポリコレ的恐怖。ギラつくライティングはレフン的 


脚本はほぼ中身なしというか、既視感ありというか…悪い意味でお行儀が良い内容。枕営業の闇!みたいな。
そりゃ過去の都市に闇ぐらいあるだろうさ。いわゆるポリコレ的な、女性の性的消費について扱うにしても余りにも浅すぎるし、正直ちゃんとやれないならそう言うテーマは抜きにしてエンタメホラーを作ればよかったのでは。

怖くもないし盛りあがらんし…コメディ作るのが上手い人はホラー作るのも上手いと思ってたけど、認識を改めた

「サイコ・スリラー」という枠組みだけ使って、愛しのロンドンへのラブレターを送った作品って感じがする(エドガー・ライトがロンドン?英国?を舞台にしない作品の方がむしろ珍しいまである)

センスある選曲と冴えた映像表現と、良いシネマトグラフィーで、コンセプトに振った作品って感じがある。


正直、必然性を感じない部分が多かったので、脚本としては残念だった。

母親の亡霊が見えるところは、母親はロンドンで夢破れて命を絶ったのかなとか、娘は精神的にもその女性性を継承しているのかなとか、考えられないこともなかったがイマイチ必要な演出に感じなかった。

主人公がファッションデザイナーである必要性も感じなかったし、学校での件もばっさりカットで舞台自体が60年代でも良かったのでは…と思ってしまうのでした。

主人公がサンディの怨嗟(生霊)の憑代的な役割しかないのが問題だと思う
2人の主人公を出すならそこに二重性なり対称性なり、物語の核を担う重要な意味を据えて欲しかった

そういえば、ゴチャっとしてないからそこそこ健全に見えちゃうけど、ソーホーって日本で言う歌舞伎町的な感じなのかなぁ