K

ラストナイト・イン・ソーホーのKのレビュー・感想・評価

3.1
新聞ドレス。霊感。“視える人”と分かる親切な前置き。とは言え基本的に母のみ。シックスセンスはしない。ファッションデザイナーの夢。愛着障害を抱えていそうな、感じの悪いルームメイト。前半はこの人が一番怖い。彼女の過去に一体何があったのだろう。彼女についてもう少し知りたかった。夢のような幻視。60年代ソーホー。エロイーズとサンディのシンクロした動きがビジュアルも含めて美しい。そのシンクロは徐々にアンバランスになっていく。サンディ意外の幻視も混じっているのだろうか。この辺りの理屈は謎。だんだん不憫に見えてくる主人公。共感しづらい感情変化(特にジョンとの関係)。図書館にて、小声で声をかけ怒られるジョンに笑ってしまう。何度も登場する轢かれる寸前の描写。あの人は助からなかったのだろうか。真相を知り、見返りは何も無かったのかと気になる。そして、そこまで追い込まれていながらなぜ逃げなかったのかとも考えてしまう。監禁さているわけでは無い。家族を人質に取られているわけでも無い。夢を叶える方法は他にもあったように思える。メリットとデメリットを天秤にかけたとき、どう見てもデメリットの方が大きい。ゴミ。無理矢理ではない描写を見ると、彼らは彼らなりにルールを守っていたようにも感じられる。とは言え、悪しき風習については充分すぎるくらいに痛みを伴って伝わってくる。時代に殺され、心も倫理も壊されてしまったということだろうか。警察がちゃんと仕事をしていれば、まだ双方に救済はあったかもしれない。これを主人公が掘り返さなかった場合の世界線についても考えさせられる。ホラー的な怖さは10%くらい(個人感)。つまらなくは無いけれど、どう楽しめば良いのか、何を受け取ればいいのかを難しく感じる作品だった。この映画自体が搾取になっていなければいいなと思う。
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