爆裂BOX

アザーズの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

アザーズ(2001年製作の映画)
4.1
1945年、第二次大戦末期のイギリス、チャネル諸島のジャージー島。グレースは強い光アレルギーを持つ二人の子供と暮らしていたが、ある日三人の使用人が訪ねてくる。その日から屋敷で怪奇現象が起き初め…というストーリー。
ニコール・キッドマン主演、「オープン・ユア・アイズ」のアレハンドロ・アメナーバル監督によるゴシックホラーです。製作総指揮でキッドマンの当時の夫トム・クルーズも参加しています。
使用人たちが突然いなくなった屋敷で、主人公グレースは娘アンと息子ニコラスと暮らしていましたが、突然訪ねてきた年老いた男女二人と口のきけない若い娘の三人を使用人として雇うも、屋敷では不思議な現象が相次ぎ追い詰められていくという内容です。
強い光アレルギーを持つ二人の子供の為に常にカーテンを閉め切り、蠟燭の明かりだけが頼りの薄暗い屋敷内とねじれた大木が立つ庭、深い霧に包まれた周囲の森などゴシックホラーとしての雰囲気とロケーションは抜群ですね。
屋敷内で起こる怪奇現象も子供達だけに見えるビクターという少年やその両親、一番見える回数が多い老婆、誰かほかに人がいる様な気配や物音がしたり、娘が突然老婆に見えたりと静かで地味ながら不気味な怖さを感じさせてくれます。「ポスト・モーテム」でも題材になってた遺体写真も不気味さを感じさせます。
グレースを演じたニコール・キッドマンの美貌と神経質でピリつき、そして恐怖に怯えて取り乱していく演技も素晴らしかったですね。ほぼ彼女の演技で持っている面もありましたし。子供達に必要以上に厳しく接する面がありながらも、同時に子供達に確かに愛情抱いている面を感じさせる所も良かったです。しかしスタイルいいですね~。二人の子供達のグレースと同じくらい白い顔と、姉アンの結構小生意気な所と弟ニコラスの常に不安そうで怖がりな所可愛かったです。
屋敷に訪ねてくる使用人達の使用人頭ミルズ夫人を演じたフィヌオラ・フラナガンも、最初優しく親切そうな老婦人という印象が中盤過ぎから不穏さを感じさせてくる演技も良かったですね。口のきけないリディ訳どっかで見た事あるなと思ったら「ハーパーズ・アイランド」のアビーだったんですね。
終盤前にグレースが一枚の写真を見つけてそこに写っている光景は薄々気づいていたとはいえギョッとさせられますね。
そして何といっても終盤のどんでん返し。といっても今となっては割とありきたりのネタだし引き合いに出される作品でネタ分る人もいそうですが、分かっていても見せ方が良くて楽しめるし、心霊現象の答えというか知った後でわかる世界観も良いですね。家族の絆はより深まったし、最後三人でハグし合って一塊になってる所も良いですね。自分はネタバレ知ってしまった状態で見ましたが、そうすると最初の方で起こる事も「なるほど、これはこういう事なんだな」とまた違った見方が出来て、二度目に見てもまた違う楽しみ方が出来る作品かもしれません。
派手な恐怖演出やショックシーンはないながらも楽しめた上質なゴシックホラー作品でした。