このレビューはネタバレを含みます
年単位で公開が延期されていた作品のひとつ『ナイル殺人事件』
やっとスクリーンで観ることが出来た
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ピーター・ユスチノフがポワロを演じた1978年のナイルを観て(恐らくレンタルビデオ?)アガサ・クリスティのポワロ物を読み漁った中高生時代
ケネス・ブラナー版としては『オリエント急行殺人事件』に続く2作目となるナイルを観て、やっぱりナイルが一番好きかもなぁと改めて感じた
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ミステリーではあるが、オリエントもナイルもあまりにももう古典で、今更トリックやアリバイがどうのと論じるのも無粋な気がする
1978年の作品とは登場人物の設定などに改変があり、その辺が古参ファンからどう受け取られるかというのはあるかもしれない
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白人が演じていた役を黒人に変えたり、LGBTの描写を加えてきたりというのは昨今の多様化を意識した映画作りには欠かせないようで、もう慣れてきた感すらある
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1978年のナイルと大きく違う面としてはポワロの過去を描いたシーンが冒頭に付け加えられていたことと、登場人物のシンガーの歌唱をかなり頻繁に使っていたこと
その歌唱が非常に良かったこともあって映画にはいいスパイスとなっていたと感じた
ポワロの過去のシーンは別に無くてもよかった
て言うか何のために付け加えたシーンなのかよく分からず
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映像技術の進歩により、エジプトへの旅行がかなり魅力的に映ったのはホント
気軽に海外旅行へ行けないコロナ禍、旅行気分を味わえる映画はそれだけで魅力的だ
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以下ネタバレを含む
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愛は殺人すら起こせる
愛と殺人をテーマに、ナイルを舞台として描かれるストーリーだが、原作や1978年のナイルと比較すると男性側の愛が軽いように感じた
ジャッキーの方は狂信的とも言える愛をサイモンに注いでいるが、サイモンの方はお金の方により比重があるように見えた
もしこの2人が上手く逃げおおせていたとして果たして長期的な関係を築けていたのかどうかと疑ってしまう
サイモンはお金さえ手に入れてしまえばジャッキーからの愛を重く鬱陶しく感じ始めるのではないか、、、
そんな杞憂も、かのドラマチックで悲劇的な幕引きで無かったものとなる
エマ・マッキーとアーミー・ハマーの最期も良かったが、ミア・ファローのジャッキーの最期が未だに忘れられないのは確か
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あとアーミー・ハマーのサイモンってどうなの
ファンの方がいらしたら申し訳ないが、私はアーミー・ハマーの魅力がどうにも分からないので、この役に説得力が感じられなかった
サイモン役は若い時のジュード・ロウくらいの美オーラが欲しいところ
(私は今の枯れたジュード・ロウの方が魅力を感じるけど)
数週間で自分の婚約者の友人である大富豪の美女と結婚まで持ち込むことが出来るとなると、圧倒的な魅力を持つ色男という武器がもっと必要ではなかろうか
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とは言え、久しぶりに観る古典的ミステリーは華やかで現実離れしていて、非常に楽しめた
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映画館で好きな映画を楽しむ
そんなささやかな幸せを奪われてなるものか
ほんと、戦争やめて
いますぐに
#nowar