このレビューはネタバレを含みます
この映画を観て一番思ったのは、言葉の大切さだ。娘に対する深い愛情から長きにわたって宮殿を造り続けた、という事も脱帽なのだが、もっと深くささったのは息子との関係だ。「よかったな」たったこれだけの短い言葉に凝縮されたジョセフの思い…。 言われた息子もその言葉だけで父の心のうちを察している。
今の世の中、これだけ言葉があふれていて、あの一言を言わなければよかった、と後悔する事が多い中で、自己表現の苦手なジョセフの発する言葉は、なんて重みがあり、どれほどの思いが込められているのだろうとずっと涙腺がゆるんでいた。病に伏した奥さんに話していた内容は、極めつけだったかも。
多分、今年最後の劇場での観賞作品になるが、締めくくりにふさわしい愛情にあふれた作品だった。