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ミッドサマーのtubure400のレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.0
カルト教団に連れて行かれたら大変なことになるぞ…というイメージがあったけど、実際こんな感じなのかしら…という現実感のある一本だった。

とはいえ、カルト教団というのも不気味に見えて、実は俗世的な目的を満たすために存在しているもの、というイメージがあるけれど、『ミッドサマー』の団体からはあんまりそういうのが見えてこない。でも本物の宗教というのはそういうものなのかもしれない。外から見ると理解不能な教義の中で自己完結するということ。集団で死への恐怖を乗り越えるということ。

ただ、『ミッドサマー』はたしかに狂気の世界なんだけれども、(例えば主人公にとって)現世に戻ることは解決になるのだろうか。我々が生きるこの世界も、各々が外から見ると理解不能な教義の中で自己完結した、小さな集団の集まりに過ぎないのではないか。物語の序盤、舞台が北欧に移る前の世界のひどくひんやりとした描かれ方を見ると、そんな後ろ暗い気持ちになった。

ただ、狂気の果ての主人公に思わず感情移入してしまうような(同時期に公開されていたような気がする)『ハウス・ジャック・ビルト』とかに比べると、いやー、悪趣味だなぁ、という感想で終わるところが残念だった。
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