カラン

ミッドサマーのカランのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.5
同級生の故郷に誘われて、それぞれの思惑を抱えてアメリカ人大学生4人が、スウェーデンのあるコミューンにやってくる。彼氏に依存気味なダニー(フローレンス・ピュー)はついて来ただけだったが、そこで行われる奇妙な儀式が過激になると物見遊山の気持ちが吹き飛び、だらだらしているだけに見えた男たちも、、、



☆ホドロフスキー・イン・北欧スタイル。

冒頭、安易なセットと妙にどん詰まりの色調の画面でなんだか悪い意味でA24っぽくて、ダメかなと感じたものだが、すぐにジャンプカットで、スウェーデン入り。ダニーの暗く鈍重で面倒な展開から、天国的な明るさと開けの世界へと飛ばしてくれる。ダークな閉域でなくとも、クリアーとオープンを突き詰めた光の世界でもホラーはやれるんだという監督の意気込みを感じた。北欧の『ホーリーマウンテン』という感じだが、花や肉がひくひく動くあたりはクローネンバーグのようでもある。ラストの炎の撮影は大満足。燃やすんだったらとことん燃やせって、当たり前のことをちゃんとやってくれる。適当な記憶だが、『マザー!』(2017)以来のファイヤー。


☆超越

フラッシュで、マルレーネ・デュマスの不気味な絵画みたいのを挿入してくる。いいんだけど、もうちょっとね。ジャック・リヴェットの『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(1974)はもっと強力なやつを挿入してくる。あの楽屋の扉から見ているピエロをジュリーのアパルトマンに直結させる挿入ね。


☆フローレンス・ピュー

彼女を映画で観るのは初めてだと思うのだが、まずまずか。この先、フローレンス・ピューが洗練された役者となることを願う。映画でフィーチャーする若い女が似たり寄ったりで、バリエーションが狭すぎるのである。


☆ビョルン・アンドレセン

まじか。。。






レンタルDVD。5.1chマルチチャンネルサラウンドは、かなりレベルが高い。(適当だが)80Hzくらいの低音の塊が上方に出現し、漲る力感で部屋の空間に歪みを作り出す。また、楽団がアコースティックな楽器を弾いて、女たちが踊り狂う際、楽団の傍らをカメラが通り過ぎて、ダンスの輪に接近するのだが、楽器の音圧が遠い、近い、遠ざかるで、変化して、ダンスの輪と楽団の位置関係に合わせて定位の位置を動かしてくる。素晴らしいエンジニアリングである。
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