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ミッドサマーの犬のレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
極度のビビリが映画館でホラー映画を見るシリーズ

4年前ロードショーしてた時は、「お花の冠に淡い色彩の素敵なビジュアル!絶対見に行こう!」と思ってたのに、恐ろしすぎるレビューの数々を読み、絶対に見るもんかと心に決める。
でもやっぱり一度くらい見といた方がいいよな...と決心し、夏至のリバイバル上映へ。
自分で行くと決めたのにめちゃくちゃ憂鬱で帰りたかった。なぜお金を払ってまで怖くて嫌な思いをしなきゃいけないのか。自分でも何がしたいのかよくわからない。


内容はと言うと、2時間半もあるのに中弛みすることなく最後まで楽しめた!
私は本当にドがつくほどの小心者ビビりなのだが、心配してたグロ描写は作り物感があって案外大丈夫。セックスシーンからダニーと共鳴して泣く女性たち、スッポンポンで逃げ出すクリスチャンまでの一連の流れが面白すぎて涙を流して笑ってしまった。あれはコントやん。笑かしにきてるやん。股間のモザイクがまた笑えるんだよな。まさかミッドサマーで涙流して笑うことになるなんて。

見た人によって結末はハッピーエンドかそうでないかで分かれるらしい。個人的には、ダニーが新たなアイデンティティを確立(プライバシー皆無のホルガ村にアイデンティティもクソもないが)し、彼女を苦しめる様々なことから解放されたと思うので、結果的にはハッピーエンドかなと。精神不安定なダニーには、全てを共有し共鳴し合う共同体のようなコミューンが向いていると思う。辛い時や悲しい時、きっとホルガ村の人たちは共に泣き、嗚咽を上げながら悲しんでくれるはず。クリスチャンのようにダニーを孤独にしない。
ホルガ村がカルト集団なのは間違いないと思うし、ダニーがホルガ村の餌食になってしまったことにも間違いないとは思う。でも最後の清々しい笑顔を見てしまうと、まあ、これでよかったんじゃない?と思ってしまう。

A24のホラー作品は映画館で何作か見てきたけど、どの作品も恐怖・不安感を煽る「音」の使い方がうますぎる。

すでに来年の夏至リバイバル上映が楽しみだ!
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