イマジンカイザー

ミッドサマーのイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
胃にクるかなりきついホラーですが、画の斬新さと怖さを魅せる技術点でこのくらい。
CATSを評する際『風邪を引いて熱に浮かされた時に視る夢』なんて記しましたが、いやぁ世界は広い。CATSがそれなら、本作は本気で身を焼かれる瞬間の走馬灯みたいなもん。映画館という逃げ場のない閉鎖環境の中、この明るさと狂気に満ちた映像を見せられるのはちょっとした拷問かも。

ホラー映画らしい色調は序盤くらいで、あとはスウェーデンの白夜の中、殆んど全編真昼のおはなし。
村民たちは皆フレンドリーで、気さくだし食にも困らない。
にも関わらず少しずつ不穏な設定と言動がつきまとい、中盤のとあるシーンでそれが爆発。むしろフレンドリーなのが怖ろしくなり、主人公同様早く帰りたいと思いたくなること請け合い。

死霊も怪物も出ないのに、いや出ないからこそ抜き身の恐怖が観る者にナマで突き刺さる。よくR-15+で倫理通ったなってくらいちょいちょいぐろめの画をぶち込んで来るので耐性が無い方はご用心。観た後しばらくお肉が食べられなくなるかも。

とはいえ、主人公の感情を追って見てゆくと、そのゴールには不思議と納得出来てしまうんですよね。生まれてこの方ここまで強烈なショック療法は見たことない。
過程があまりにもえぐいので、最後のシーンはむしろ有情だなあ、って慣れてしまうのもやばい。

胸を鷲掴みにするような約140分。これを読んでご覧になられる方は覚悟を決めて鑑賞に臨んでください。
きついです。