映画館を出た後、コットンの服を売ってる店の前を通るのが恐怖でした。
アリアスターって美術修士号を取っている監督だった。
映像美に騙されそうになるし、何なら花々や自然と美しいBGMでそのまま終わらせちゃおうと思ってるのかもしれないけど、映像が美しい分、起きている事の不協和に吐きそうになります。
最初と最後で観客も180度違う世界に立つことになるので、お楽しみにという感じです。
これを恋愛映画だと言うミュージシャンもいるみたいでその見方も面白いなとは思うけど、恋愛というよりは人間の本能を蘇らせる系の映画なのではと思います。
***ここからネタバレになってしまうけど、***
私は回収されない伏線という無駄があまり好きではないので、この映画は「ふーん、きれいだけど残酷~」で終わりました。あんまり好きなジャンルじゃなかった。よく分かりませんでした。
家族が死んだという流れをわざわざ最初に出したのはダニーが不安神経症だと提示するため?落ち込みついでにスウェーデンに行かせるため?その後のことはすべてダニーの妄想なのか。
ここまで置いてきぼりになると、「わーこれ気持ち悪!」や「この花の帽子可愛い~」など、スポット的にしか印象が残らないんですよね。
でも、私達人間の持つ倫理観って何なの?というのは確かにじわじわと感じた。お肉のタルトなんてご勘弁って感じ!絶対、さっき居なくなった人の肉。映画『RAW』のカニバ不快感再び。
人間が飛び降りる、という行為よりかは飛び降りた後の「姿」だったり、極限まで引き伸ばされた皮膚だったり、「人間の一体何が入ったジュースなのこれ?」というおぞましさだったり。
映像の美しさは、そうしたおぞましさを増長させるものに過ぎない。スイカに塩かけて食べるのと同じで。人間の本能に挑戦している映画なのかなと思いました。
追記)ギリシャの採火式の映像からミッドサマーを思い出したのは私だけ…??