"彼に守られてると感じる?心の拠り所になる?"
【STORY】
不幸が続き精神が不安定なダニーと、支えにならないクズ彼氏クリスチャン、そしてクリスチャンの友人達。5人は夏至祭シーズンの北欧へ旅行に出かける。
白夜の下で若者達を待ち受けていたのは、常識が通用しない悪夢のような世界だった…
【一言まとめ】
●どこまでも美しく、完璧におぞましい
●監督は孤立・不安の天才
●画面の明暗や効果音の有無は関係ない
●ヘレディタリーのハードルは高過ぎた
【感想】
《年末のアスター祭》
こんなにも明るい映像が広がる、美しいホラー作品は中々ありませんよね。
やっぱり異国の言語や異質な文化というのは "分からない" というだけで不安を煽るもの。
そんな不安な状況で更に狂った行為を見せられることで、元々あった感情や関係のほつれがどんどんボロボロになっていく…
本当に、コンセプトを組み合わせるセンスがものすごいんですよね、アリ・アスター監督は。
ヘレディタリーでも今作でも、彼は細かい出来事や会話を連続させながら登場人物達を孤立させ不安を煽り、観客も共に不安の極限に陥れる。真に天才だと思います。
そうして登場人物と観客を追い詰めていき、"今何が起きていて、今後何が起こるかを理解できない"という混乱・恐怖さえ生み出せば、もう余計な小細工は要りません。
「画面が明るくて花と笑顔に包まれていようが、うるさい効果音や大音量の音楽が無かろうが、ホラーは成立する!」それを監督は今作で証明して見せました。
むしろ、"こんなに不安なのに花と笑顔に包まれている" "こんなにドキドキするのにとても静か" という違和感が更に不安感を引き立てます。心から感服します…。
ただ、初見の時点では僕は勝手にハードルを上げ過ぎていました。
『ヘレディタリー』にガツンとやられ、繰り返しヘレディタリーを観ながら今作を待ち遠しく思っていたので、その間にハードルが上がり過ぎてしまい、1回目は思ったほどは感動しませんでした。
でも、観終わって色々反芻しながら2回、3回と繰り返すうちに、今作の良さがどんどん染みてきています…
息づく草花の演出、白昼に晒される容赦ない人体破壊、綺麗な民族衣装、サブリミナル効果の"あれ"、観れば観るほど、全てがどんどん好きになります。
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観た回数:6回(通常版4/DC版2)
直近の鑑賞:BD(通常版20.12.28)
BD(DC版20.12.30)
BD(DC版2021年冬)
Netflix(通常版21.09.09)
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【星つけた際の個人的評価・好み】
総合点87pt/100pt 星換算★★★★4.3
コンセプト点 96pt/100pt✨✨
ストーリー点 83pt/100pt✨
設定点 86pt/100pt✨
キャスト点 75pt/100pt
テンポ点 80pt/100pt✨
深み点 73pt/100pt
演技点 74pt/100pt
撮影点 79pt/100pt
演出点 90pt/100pt✨✨
映像美点 88pt/100pt✨
セット点 87pt/100pt✨
キャラデザ点 69pt/100pt
衣装点 83pt/100pt✨
メイク等点 79pt/100pt
音響/効果音点69pt/100pt
音楽点 76pt/100pt
ゾワゾワ点 79pt/100pt