このレビューはネタバレを含みます
ダニーはスウェーデンに行かず、ボクシングジムにでも行って、体を動かせ。
前作ヘレディタリーが理解の出来ないものへの恐怖なら、今作は理解は出来るけれども抗うことのできない恐怖といった違いがある。
行われることには全部理由があって、説明をしてくるので、見ている側も何故か説得されて成り行きをただ見ていくしかない不可思議さが味わえる。
考察のしがいもあって楽しいのだけども、あくまで出てくるルールや習慣はホルガの人達が独自の作り上げたものにしか過ぎないという要素はある。
ラストシーンで痛みを感じないと薬を舐めさせられた男が焼かれるシーンでも苦悶の表情と断末魔の叫び声をあげたことで、ホルガの人達の信仰はやはりだだの信仰で奇跡的なものではなかったことが露になる一瞬でもある。あそこ好きです。
この作品は視聴者がまるでホルガに来ているような錯覚を覚えるトリップ表現が多くて、そこも面白い。
特に、性行を終えて逃げ出し、気を失って、次に目覚めた時に客観的な視点でなく、クリスチャンの主観的な視点でホルガの住人に「お前はしゃべれないし、動けない」と言われるのだが、映画館で見ている私達は映画館のマナーでしゃべれないし、動けないクリスチャンと擬似的に同様の環境下におかれているのでとてもゾッと出来るシーンになっている。
多分他にも気付いていない仕掛けは複数あるだろうから、ホルガの考察だけでなく、そうした映画の作りを考えるのも楽しい映画でした。