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ミッドサマーのnionIIIのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

観た人は必ず死ぬと話題の映画、ミッドサマー(違う

前作ヘレディタリーでも見せつけられた、映像や音楽、効果音の独自性や巧みさは他の方も書いているであろう通りですが

ストーリー的には、中学生の頃に筒井康隆作品を読み漁った身からすると既視感があり
もしかすると監督は「時をかける少女」や「パプリカ」から原作に興味を持って筒井作品を読んでたりしないだろうか?とも思いました

宇多丸氏によるインタビューでは楢山節考とか日本映画も詳しい様でしたが、どうなんだろう

観てから一日経って、主人公たちが「こいつらヤバイぞ!」と最初に気付く問題の崖シーンがフラッシュバックする感じがありますが

「こっち側」から見ると彼らは集団で犯罪的な恐ろしい儀式を行ってるという事になるんだけどどうも「あっち側」の価値観では、死をマイナスだけのものとして捉えず、肉体からの解放、一種の祝祭として積極的に受け入れるような思想に基づいているようで

考えてみると「こっち側」の社会にも理不尽に人が死ぬ事や残された者の悲しみは山ほどあって、他方で自分が生きて行くために他の生き物を殺して食ってるという現実もあり、
折り合いを付けようとした結果生まれたのがあの儀式なのかもしれない

それは別の例えば世の中の役に立つ/立たないみたいな瑣末な事を生死観に結びつけて
役に立たない人間は死ぬべきだみたいな薄っぺらい考えよりははるかに深く、人や動物の生死に関して厳かな態度なのかもしれない

人が犠牲になる風習として日本でも「人柱」とか「姥捨山」とか少なくとも言葉で残ってるものはあるし必ずしも遠い世界の信じられない習慣とも言えないのかもしれないなと思いwikiとか見てみましたが実際の所どれぐらいの犠牲があったのかはっきりとはわかりませんでした

ところで評点についてですがこの監督は天才なのは間違いないという前提で少し厳しめになっております

もうちょっと短くまとめる事もできたかな?という点や、ラストの方向性かヘレディタリーとほぼ同じに思えたので、何かもう一捻りほしかったかな?という点、
主人公たちを巻き込んだ張本人の「ペレ」が生贄になったのかどうか、某匿名掲示板で議論になってた様に(似たキャラの登場人物があと1-2人いて判別できてない)自分もよくわからなかった点がマイナスポイント
とはいえこの作品も天才的でした

ところで「命の木に何すんだ!」と怒られてたマークは、結局立ちションしようがしまいが生贄にはなってたんだろうなとか

ペレが生贄になってないとすると儀式が終わった後「いい仕事したぜ〜」みたいな感じでビールで乾杯とかしたのかなとか

監督によると「カップルで観たら別れるような映画を目指した」らしいんだけど横にいたカップル、尻を押すシーンだけはちょっと喋ってウケてたけどどうなったんだろうな

といった点も興味深い作品でした!
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