おい酒井

ミッドサマーのおい酒井のネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

前作『ヘレディタリー/継承』に続く長編映画2作目。前作が各所で話題に挙がり、かつ広告も大々的にされたおかげかかなり観客も増えていた印象。

前作からの大きな反響を受けて、期待を裏切らなかった手腕に感動。
バットトリップ、精神的不安、緊迫感の演出による没入的恐怖や理解出来ないものへの絶対的恐怖という、これまた『ヘレディタリー』にも取り入れられていた手法は、やはりアリ・アスター監督ならではとニヤニヤしてしまう。

本作を、ホラー映画と定義するには違和感がある。全て決められた道筋になっている一枚絵から始まる地獄旅行。
文化の違いによる齟齬と人間関係のもつれが絡み合い、あるべき姿に収束していく。
完全に自業自得だけど、なんでかラストでちゃんとしたカタルシスを感じてしまう。

細部まで徹底された画角のこだわりは相変わらずで、大麻使用者曰く再現度が高いらしいトリップ描写も目を奪われる。
伝統的な北欧文化、土着信仰の解像度が高い。正直それなりに盛ってるザ・カルト宗教なんだけど、リアルに基づいていて説得力がある。

また、インタビューで今作は監督自身の失恋と重なって、セラピー的な向き合い方をして作り上げたと語っている。
これは個人的な見解だが、監督は本ストーリーにおいて自己を主人公ではなくクリスチャン(彼氏)に投影しているように思える。故にこの結末は一つの彼なりの自戒なのではないだろうかと思っている。

デトックスとブレイクアップ・ムービーという側面を持ち合わせながら、
そこにホラーとアートをごった煮にしたような闇鍋映画。
おい酒井

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