もりや

ミッドサマーのもりやのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

どす黒くて汚い色の上に、色鮮やかな明るい色を塗りたくったような気持ち悪さを感じる映画でしたね。見る人は選ぶけど、見るべき人が見れば前作同様に刺さる映画!

へレディタリーを見てから行くと、注目ポイントが明確になってて一度でいろんな気付きがあってよかった!視覚的にもいろんな工夫が凝らされていそうで、ルーン文字などの解説記事を読んでからディレクターズカット版も見に行きたいな。

本作は、家族を失った喪失感、恋人への激しい依存と執着を抱えて苦しむ主人公ダニーの救済と解放を描く一方、友人ペレと彼のコロニーの悪魔的に狡猾な導きによって進む物語は、そんな救済が滑稽で胡散臭いとしか感じないほど、集団としての人間の汚れや残虐性、自分勝手さを描いています。

ホルガの家族は感情をも共有して強い結束力を持っているように見えますが、ラストシーンではそんな家族という繋がりの胡散臭さが際立ってましたね。贄となった人たちの苦しみに呼応するように慟哭する彼らには、当然当人たちの苦しみはわからないし、一連の儀式を無事終えて、外部の種を2つ手に入れてコロニーを存続させることができる安心感を胸の内では感じているのでしょう。集団としての人間心理の汚い側面を描き出しててえげつない。

今作では家族の解釈を拡大して、ホルガ村を家族コミュニティとして描いてますが、前作へレディタリーと同じで、人間の自分勝手さや理不尽さ、家族の明るい面だけではない、閉塞感や悪しき習慣、良くも悪くも強い繋がりを共通のテーマとして描いています。へレディタリーもそうですが、人を盲目的に信じてしまう人や、家族に息苦しさみたいなものや、はたまた盲目的な居心地の良さを感じている、いた人にはすごく刺さる映画だろうなと思いました。
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