ペペロンチーヌ

ミッドサマーのペペロンチーヌのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
『ヘレディタリー/継承』のアリ・アスターによるカルト映画。前作はギリギリのところでホラー映画のジャンルの枠組みを残していたけど、今作はジャンル無視の容赦ない造りで、いよいよ本領発揮といったところか。

人間の心理に潜む「不安」をこれでもかと形にしていくその演出手腕は見事というほかなく、創作物の舞台装置の中に人間を放り込んで崩壊させていく人の悪さも際立っている。アプローチの形は違うけれども、黒沢清が目指してる世界に近いと思った。映像的には初期のラース・フォン・トリアーの方が似てるかな?

表現はグロテスクだし、あくまでも絵空事と思うこともできる(劇映画なのだからそれでもOK)。しかし、あなたの隣にある常識は、一つ別の線を越えれば一瞬にして常識ではなくなる。本当に怖いのはそっちの方かもしれない。必見。