数年前に話題になったテレビドラマ「カルテット」で、「男は結婚を恋愛の延長線で考える、女は結婚を家族の成立と考える」みたいな台詞のやりとりがあって激しく同意しましたが、これと通底するテーマを持った映画だと感じました。
この珍妙な共同体は、いわば家族の象徴、あるいは田舎の親戚一堂の象徴でもある、と考えることができます。それも、自分たちとは相当に価値観が異なる異質の塊のような集合体です。しかし、主人公の女性はいつの間にかそれに環境適応して同質化（家族化）し、その他の恋愛志向（快楽志向ともいえる）の男性たちはそれを拒絶してスポイルされていく…。男女の違いは一概に言い切れるものではありませんが、その傾向は強いなと思ってきました。僕にとって「家族」という概念は恐怖の存在でもあるので、このホラー作品はまさしく恐怖の追い討ちでもありました。
もちろんこの映画は、カルト教団の暴走を示す映画だとか、その他にも多様な解釈ができ、鑑賞者自身の触覚の違いによって感想は相当な開きがありそう。それもまた、良くできた映画であることの証明でもあるように思います。
