O次郎

のぞき魔!バッド・ロナルド/十代の異常な欲望のO次郎のレビュー・感想・評価

4.3
気になっててようやく観られたカルトTVMの秀作。
濃密な母子家庭環境で育ったオタク少年が過失によりパリピ同級生の妹を殺してしまい、自宅の隠し部屋に籠ることで妄想癖を悪化させていくサイコスリラー。

結論から言うと、『惜しい』の一言。尺が短い都合もあってか、題材の過激さのわりに結末はアッサリ気味だし。
主人公の隠し部屋での潜伏期間が全体を通しておそらく数ヶ月程度なので、異常性がイマイチ振り切れていないのが惜しさの原因ではなかろうか。
もし潜伏期間が殺人事件の時効が成立し得るほどの数十年間にまで及んでいれば、事件が風化して誰も主人公を覚えておらず不気味さが増し、その妄想癖の悪化ぶりも強調出来たハズで、ともすれば「『パラサイト 半地下の家族』の原型」としてもっと大々的な評価を得られたかもしれない。


数日から数週間に一度、新しい家人の不在時を狙って食料調達のために居住スペースに出没して即座に撤退、を繰り返す生活を続ける

主人公の一人称視点に切り換え、加えて隠し部屋内での鏡の破損等のアクシデントなりで、数十年に及ぶ容姿の変化が視聴者に分からない

最終的に建物の解体時に遂に外部の人間に主人公が姿を見られてしまい、その異形ぶりに驚く発見者の表情を映して終幕


みたいな流れにすればかなり個性的なホラー作品としても評価されたのではないかと想像したりして、ますますもって『惜しい』の一言。
ともあれ、他人の生活の盗み見る性悪隣人が遂に主人公を見つけてショック死するくだり等、トラウマ映画が好きな人には刺さるシーンが諸々有るので、そうしたフリークの人には是非とも勧めたい逸品。
DVDがプレミア化してるので、どっかのサブスクで配信してほしい...。
O次郎

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