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君の誕生日のレクのレビュー・感想・評価

君の誕生日(2018年製作の映画)
3.2
2014年に韓国で起こったセウォル号沈没事故を題材にした作品。

『ペパーミント・キャンディー』『オアシス』ソル・ギョングと『シークレット・サンシャイン』チョン・ドヨンというイ・チャンドン監督作ベスト、いや韓国映画ベストにも入る作品の主演キャスト。
それに加えて、イ・チャンドンのもとで経験を積んだ女性監督イ・ジョンオン。
観るしかないでしょ!ということでずっと楽しみにしていた。


傍に居てあげられなかった父親と過去に囚われたままの母親。
家族の喪失と受容、苦悩と再生に焦点を当てながら過去の事故の悲惨さではなく"今を生きる人"を励ます。
泣くというより泣かされるような演出が狡い。

事故による家族の不調和と言葉にできない機微を夫婦役の名優ソル・ギョングとチョン・ドヨンが繊細に表現して惹きつける。
父親視点から母親視点へと切り替わる瞬間、「あの時こうしていれば…」そんな後悔に包まれ、辛い気持ちに。
チョン・ドヨンの慟哭する演技がマジでやばい、圧巻。

とはいえ、遺族の背中を押してくれる作品ではあるがクライマックスのアレはダメ、救いの一手が悪手すぎる。
泣かせようとする演出は百歩譲っていいとしてもアレをやってしまっては"現実を受け入れて今を生きていく"というテーマそのものを壊しかねない。
たとえそれが家族にとって救いになるとしても。
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