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幸福路のチーのsonozyのレビュー・感想・評価

幸福路のチー(2017年製作の映画)
4.0
台北郊外に実在する地区「幸福路」で少女時代を過ごしたチーの物語。

金馬奨: 最優秀アニメーション映画賞
台北映画祭: 最優秀作品賞・アニメーション賞・観客賞
東京アニメアワードフェスティバル: 長編グランプリ

1975年4月5日、蒋介石総統の命日に生まれたチー。
仕事に苦労し宝くじを買い続ける父と温かい母、大好きな祖母。学校ではハーフの女の子チャン・ベティと悪ガキのシェン・エンと仲良しだった。

名門大学を出て渡米し結婚。アメリカで暮らすチーは、愛する祖母の訃報を受け、故郷・幸福路へ久々に帰ってくる。

懐かしい思い出を振り返り、祖母の亡霊と語りながら、自分自身の人生や家族の意味について思いをめぐらせるチー。
両親に妊娠している事を隠し、子供を欲しがらない夫と離婚の危機にあった・・・

1974年生まれの台湾の女性監督・宋欣穎(ソン・シンイン)自身の実体験が50-60%という半自伝的な作品とのこと。
台湾の戒厳令時代、戒厳令が解除され、民主化へと向かう..という大きな変化の時代を生きた監督の祖国や家族への想いが詰まった良作です。

愛らしくて想像力豊かなチーの妄想・幻覚・回想・夢..のシーンが、アニメーションならでは。

チーに大きな影響を与えたワイルドな祖母は台湾の先住民族の1つアミ族として登場しますが監督の祖母も同様だそう。
祖母がチーに檳榔(ビンロウ/噛みタバコ的な存在のヤシ科の実)を買いに行かせるので友達から「野蛮人〜!」とイジメを受けるシーンが出てきます。

余談ですが、昔、台湾に行った時に見て驚いたビンロウ売店を思い出しました。
幹線道路沿いに点在するその売店は小さな全面ガラス張りで一人か二人の露出度高め(ほぼ下着レベル)のビンロウガールがいて、トラックの運ちゃんやバイクのオッサンが停めて買っていくんです。夜はネオンが灯りまるで風俗?なムードで、客引き露出度競争という感じ。
最近は風紀問題でほとんど見かけなくなったようですが、何とも不思議な光景でした。
ビンロウは、ガムのように噛むと赤い汁が拡がり軽くハイになれるようですが、赤い汁を吐き出したり、歯が汚くなったり、身体への悪影響もあり、当時も年配や農村部、トラック運ちゃんなどの一部のみに残る嗜好習慣のようでした。
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