このレビューはネタバレを含みます
2020年18本目。劇場公開終わったかもと諦めてたら、まだ上映してるところがあると知り、すぐにチケット購入して鑑賞。
主人公・チーの個人史と台湾近現代史がファンタジックな表現を交えて描かれたストーリー。親との価値観との違いに悩んだり、憧れていたアメリカでの生活が思い描いていたものとは違ったり、ある程度歳を重ねて自分のライフヒストリーを振り返ると、自分にもこんな事がある(あった)とデジャブを感じる場面が多々あった。そのなかでも、印象に残ったのは2つある。
1つ目は、お婆さんがチーに言った「お前が何を信じるかで自分の人生は決まる。すべては思いの強さにかかっている」というセリフがすごく刺さった。人は、何らかの岐路に立たされたとき、自分の信念だとか価値観を再確認して、自分が幸せだと思う選択をする。けれど、思いの強さで幸せか不幸せか如何様にも転ぶなと思うこともあると思うので、自分の心に刺さったのかなと思っている。
何より、チーとお婆さんのやりとりは、個人的に亡くなった祖母との思い出が蘇ってきて、涙なしには見れなかった。
2つ目は、作品に携わってる人が台湾映画というジャンルで見ると、結構豪華だったことだ。エンドロールでは、安室奈美恵ともコラボしたことがあるジョリン・ツァイが歌うエンディングにのせて、グイ・ルンメイやウェイ・ダーションの名前が流れてくる。製作費が2億に満たないと聞いたけど、このキャスティングが出来たことが本当にすごいなと思う。
ノスタルジックな描写の中にも、どこかほろ苦さを感じる大人のためのアニメだった。日常生活に疲れて、一度立ち止まってこれまでの自分のことを振り返りたい人に、この映画をお勧めしたい。