複雑なアイデンティティーを抱えながら生きていくことは確かに一筋縄でいかない。
しかし、生きるということはそんなに複雑なんだろうか。
「お腹がいっぱいの時に感じるのが幸せ」
この言葉にすべて詰まっていると私は思う。
台湾という国の激動の時代、国の象徴的な人物である蒋介石が亡くなった日に生まれた主人公チーの物語。
様々な政治的問題を内包した台湾という国のなかで、揉まれながらも逞しく成長していく幼少から大人までの話。
大人になり台湾から米国へ移住し、そこでも一人の女性として出会いがあったり、アジア人としての差別を受けたりとたくさんの経験をする話。
その二つが混在しながら進んでいくので少しわかりづらい面があるかもしれない。
しかし、これはそういった政治的内容もさることながら1人の女性が深く愛し、信頼していた祖母の死を受け成長していく物語でもあるので、そこまで構えて観ることはない。
もちろん、この映画を観た後に台湾の歴史を調べるとより深いところでの楽しみはあるのでおすすめする。