どらどら

ペイン・アンド・グローリーのどらどらのレビュー・感想・評価

4.3
“愛は山を動かせても、愛する人を救えない”

この物語なき世界で物語を描くことの意味
この映画は、そのことに自覚的だ

栄光とはどこにあるのだろうか
現実は痛みと絶望に溢れ
過去は喪失と別れに彩られ
未来にあるのは、どこに向かうかも知れぬ闇

過去の栄光はそのときには気づかれず
熟成されてこそ気づく

物語を描いてこそ立ち上がる、過去
痛みの果てにこそある、栄光

物語を描いたとき
過去は鮮やかに色づき、
痛みと栄光が呼び起こされ、
未来への道が開ける
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三島由紀夫的な美学に貫かれた傑作
少年期の初めての欲望、恋人との愛ゆえの別れ、母による人生の否定
ヘロインで失い、ヘロインでさらに失いかけたもの
物語を描くことで動き出す物語
痛みも含めた、過去の肯定
栄光の本質
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