アラシサン弐

ペイン・アンド・グローリーのアラシサン弐のレビュー・感想・評価

3.8
人生を搾りきって何も生み出せなくなった老人が過去を掘り起こすことで、痛みと引き換えに現在の自分と自力で向き合っていく姿からは、人が老いていくまでに培ってきた人生に無駄な事はないと思わせてくれるし、老いてもなお創作活動をしていくことの執心を肯定してくれる。

監督自身がモデルらしいのでその説得力は強いし、母親とのシーンは「母にとって良い息子ではなかった」という自己批判を乗り越えようとする意思も感じた。

監督特有の映像美もこれでもかと詰まっている。色がすごい。
何カットチェンジしたんだってくらい衣装が変わる。
老人となった現在のマンションは暗い色なのに、少年時代の洞窟住居が装飾される前の真っ白なのが秀逸だった。
アラシサン弐

アラシサン弐