コマミー

ペイン・アンド・グローリーのコマミーのレビュー・感想・評価

3.8
【疲れた心と母との思い出】

※アルモドバル×バンデラス×ペネロペ・クルスという点で、観たくなりました。



僕が"ペドロ・アルモドバル"監督の作品で一番好きな作品は、「私が生きる肌」だ。アルモドバル史上、もっとも際どい視点から撮った作品で、尚且つ"アントニオ・バンデラス"の演技がとても良かった作品だ。アントニオ・バンデラスは、元々アルモドバル作品でデビューした方だ。

アルモドバルは、「オール・アバウト・マイ・マザー」以降、「家族」についての作品を"様々な視点"で描いてきた。
そして今回は、"芸術的な観点"そして"精神的な観点"から見ている作品だ。

まず「芸術的な観点」として、主人公が"映画監督"だと言うことだ。個人的な見方だが、"繊細な"映画監督という立場なら家族について色々な事を思うからだ。

そして「精神的な観点」は、主人公が背中の病によって精神的に"疲弊"しきっているという事だ、だが本当はもっと"別なこと"でも悩んでいて、次第に薬物に手を出していくのである。

実はこの「別の事」こそが、この「家族の物語」に関係していて、そして物語の最大の肝になる。
話の繋げ方がとても"お洒落"だ。
主人公の「ある後悔」を軸に、まるで"魔法"のように話が続いてく…。現実→過去→現実→過去…、と交差させながら男の苦悩を照らし合わせていくのが、非常に自分好みの演出であった。

これはまさに、人の"人生"についての物語。

私たちの物語なのである。
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