touch

ペイン・アンド・グローリーのtouchのレビュー・感想・評価

4.1
"見方が変わったのよ 映画は変わらない"
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イケオジが大渋滞、枯れ専には堪らない逸品!
人生花盛りを過ぎてなお生命力に溢れる老獪な自伝的回想録。ビビッドなモダンアート的アプローチにクラクラ…
監督が敬愛するフェリーニ作品への目配せ、アントニオ演じるアントニオ、劇中劇の入れ子構造が夢小説的にも。
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アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたアントニオ・バンデラスの円熟した色気もさることながら、ペネロペ・クルスの衰え知らずの美貌にため息が漏れる。
美魔女だとかそんなちゃちなレベルじゃない美しさだ…
衣装も美術も目に賑やかで「夢なら夢でかまわない、ずっと見ていたい」とすら思ったよ…
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軋む老体にキャリアは減退期、"物語の終わり"が近づいているのを悟りつつ、それでもなお画面に滲む生への執着と未だ尽きぬ創作意欲。
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花柄のテキスタイル、赤を多用したレトロモダンな色遣いが目に楽しい。
飾り立てられた画の賑やかさは「人生は祝祭だ」と宣ったフェリーニの『8 1/2』を連想させる。
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人生の儚さを悲観主義的に描きつつ、多幸感で満ちたアーティスティックな画面の美しさに胸がきゅっとなる。
『君の名前で僕を呼んで』の空気感が好きな人にぜひオススメしたい。
っていうか、アカデミー賞ノミネート作品なんですよ…
もっと話題になってもいいはずでは…
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