yontanu

ペイン・アンド・グローリーのyontanuのレビュー・感想・評価

4.0
いろんな意味で素晴らしい「一本」やった
アルモドバルの私的で感傷的な、
老いた映画監督の人生と愛への回顧と克服のはなし

アルモドバルを投影させたバンデラスが良すぎる 
年老いてなお色気と悲哀を併せ持つ魅力
アルモドバルが着てそうな服着ててもばっちり着こなせるのも素敵
着てるセーターとかシャツがいちいち素敵

『抱擁のかけら』以降がイマイチやったけど、これは『抱擁のかけら』ほどの情熱や感情はアルモドバルにしては抑えつつ、
しっとり静かに進んでいくのがいい

ミューズとしてやっぱり外せないペネロペは言わずもがな、
他のキャストみんな、目がとにかく印象的、若き日のサルバドール
欲望を意識した男の子
恋に溺れたフェデリコ
互いの痛みを知ったアルベルト

全部のキャストがバチっとハマって、
アルモドバルなんやけど、アルモドバルじゃない映画だった
今までならドラマチックにあえて過剰な演出にしてくるだろうシーン(そゆのも好きやけど)も、抑えて抑えてその分彼らの心の抑制も見え隠れする演出

セットとか衣装なんていつものアルモドバルやのに、いつもと違うアルモドバルを味わって満足

人は目的を見失い、生きる意味を考えるとき、過去の想い出と共に自分の感情を思い起こす
それが辛い記憶でも、なんともない記憶でも、激しい記憶でも
過去の想い出と現在に折り合いをつけながら、過去をただの思い出にしないために、
また前に進めたいと、思うのかな

サルバドールの視点で映すカメラは、
彼の心を描ききってた
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