m

脂肪の塊のmのレビュー・感想・評価

脂肪の塊(2017年製作の映画)
1.0
大仰で深刻ぶって何か重い事を描いているフリをして、その実呆れる程に酷薄で醜悪で稚拙極まる代物を目の当たりにした。初めは笑って観てもいたが、流石に怒りやら何やらで疲労困憊しきった。事細かに書こうかと思ったがもうその気力も無い。
ただただそれらしく(少なくともこの監督はそう思っている)形作られただけの形骸的な『キャラクター』が無意味に見世物の血や臓物をちらちら見せながら死んだりセックスしたり殺したりする。人間の何かの感情や業を描く事もできず、開き直った見世物にもなる事もできず、ただただこれが価値のある事だと思っているらしい監督の巨大なエゴだけが中途半端に膨らみ切っていく。ひたすら途方もなく酷かった。
クリスチャン・ストーカーの中2的な頭の悪い台詞回し(本当に失笑以外の何も出てこない)や会社パートの全くもって無駄なディテールと長さだったり、とにかくこの監督には客観性というものが完全に欠如していて、それが映画の致命的な拙さに拍車をかける。というかエゴなのかな。
監督本人作曲でオーケストラに生演奏してもらった音楽はひたすらに大仰で鳴りっぱなしのせいか、逆にチープに感じる。

DV殺人男の「地獄って知ってる?うちの実家」という台詞はパワーワード。
こんな映画の中でもみやびと村田唯は孤軍奮闘していたが、みやびよりも村田唯の演技の表現力と爆発力が上回る(この役を『悪女』と表現しちゃう監督の女性観ヤバくない?)。監督の責任だと思うからみやびが悪い訳ではないけど。
m

m