キリンさんが好きです。でもゾウさんの方がもっと好きです。お前だよ！松本引越センター！！
と言うのは置いといていつもの佐藤寿保のピンク映画……とはかけ離れて異質な雰囲気を放つ『夢で逢いましょう』は、夢野史郎ではなく『盗撮リポート陰写！』の佐藤寿保×渡剛敏タッグ。
ただ陰写！とはまた違った雰囲気。
原作漫画は未読。

昔々神隠しにあうと言われた森があったと言われる一つの街を舞台に少し不思議な雰囲気が漂い造花に咲く世界を見る。
夢遊病者のように幻惑に惑わされる父親に、母親の語る本音、管理塔に住み人工心臓を持つ管理人、優男に見えるM役の男。物語が進むに連れ拗れ忘れたもの、本音がまるで表層心理に隠していたように出る中で、主人公の超潔癖症的な一番異質さを感じる。

作品の雰囲気には合いつつもこの世界には似合わない主人公。白ウサギと同じ白い服を着ながらもうさぎの交尾に倒れるほどの潔癖さ。自分の身体でオナニーはするけど。

ピンク映画のエロらしさは良い意味でも悪い意味でもいまいちと言ったところ。佐藤寿保作品にエロ自体は余り求めてないけど、そう多いわけではないので意外とピンク初心者にも良心設計になっている……わけがなく、SMだったり放尿だったり観ていてきエキサイティングだった。でも私が一番好きなのは造花の中での主人公の母親とS嬢の貝合わせなのだが。確かに造花、あるのは造花、その頃の関係も造花なのに貝合わせが美しいんだ。
特にモニターと裸体の映像の合成は流石の佐藤寿保といったところなのか、そういった映像演出は強く佐藤寿保を感じる

開始早々、車の中で寺田農がベラベラ喋り、後ろに座っている娘はマスク着用で極度の潔癖症？と不穏な雰囲気で最高。カメラで監視された団地って安全な印象を受けるが、誰かに見られていると思うとゾッとする。現実を切り取ったはずのカメラ越しの世界(映像)が現実よりも異質になっているのが他の佐藤寿保作品と似ている。
ウサギの交尾のショットがあるが、オスのウサギの腰を振るスピードが早すぎて仰天。あんなん受け身も攻めも大変そう。SMプレイもあるのだが、結構ハードでキツかった。家族の描き方が『やわらかい肌』と若干かぶる部分もある。
撮影協力：松本引越センターで吹いた。昔、この会社に引越しをお願いしたときに、ドライバーがミスって引越しトラックでブロック真っ二つに折っていったな…笑笑。

• #2020_kankan_boy

不潔恐怖症の主人公、神隠しに逢う森と消えた父親、監視された団地、人工心臓の管理人、女王様に目覚める母親。

隔離された寓話の世界。