とも

淪落の人/みじめな人のとものレビュー・感想・評価

淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)
4.6
"それでもまだ人は夢を見る"

事故で車椅子生活となった中年男性。家族と別れ一人暮らしの彼の元に、フィリピン出身の若い女性が家政婦としてやってくる…

設定だけ見ればフランス映画の傑作「最強のふたり」ほぼそのまま。しかし観てみると内容は異なっていて、こちらも負けじと神映画。

主演には香港の名俳優アンソニー・ウォン。「インファナル・アフェア」での警察の上司役が有名で、その強烈な演技が印象に残っている人も多いのでは?
香港デモを支持したことで、業界から干され久しぶりの出演となったそう。しかしながらその演技の巧みっぷりは健在。コメディチックからシリアスまで表情の移り変わりや口調の変化、やはり魅せる俳優に違いなし。

ストーリーもシンプルながらいい。
友人はいてもどこか孤独を感じてしまう二人の寂しさ・諦めが共鳴する。
この二人はまるで車椅子の車輪さながら。
二つ揃ってこそ前に進める。
どちらかが大きかったり、小さかったりしても真っ直ぐ進めない。
二人の関係は雇用関係を越えて対等だ。お互いにDream giverであり、お互いにDreamerだ。
そしていつか立てるようになれば、車椅子も車輪も必要なくなる。

ほんとに素晴らしい映画を見せてくれてクソありがとう!
とも

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